カナメ物語 17R

伊橋さ~ん、私達も乗せてくださ~い。

マキが大声をあげる。

早く 早く乗って…

大型スクリーンは、芝生の上で、両足を空に向け苦しむかのような姿を映しだし、観客は、悲痛な叫び声をあげた。

解説の隊長さん、カナメは故障でしょうか?。

(ただ ゴロゴロしてるだけじゃないの?)と思いながらも…そうですね、鞍も外しましたし、心配ですね。

ほらっ カナメ君、みんな来るよ。帰ろうよ。

くぴぃ~ 気持ち良さと激走疲れで、寝てしまった。

ワゴン車が到着すると、一目散に伊橋厩務員が駆けつけてきた。

『カナメ カナメ~』声掛けるも… くぴぃ~

マキも ヨシ君も…体を揺するが… くぴぃ~

そこへ 獣医が到着…

先生~ カナメが カナメが… マキが涙ながらに 早く診て下さいと、訴える。

聴診器を胸にあて、瞳孔を確認し…首をひねった。

先生、カナメは、どうでしょうか?大井競馬調教師 ヨシが、診断結果を求める。

ちょっと…言いにくいんですが…

重症ですか? 先生

い いや…この子の好きな物か、嫌いな物とか …ありますか

好きな? … リンゴが大好きですと、マキ…

嫌いな物は…

多分…私のお酒の臭いが嫌いって、言ってましたと、伊橋厩務員 。

それじゃあ、リンゴはないので… 鼻面に息を吹きかけてもらっていいですか

は?首をひねりながらも、『ふぅ~ ふぅ~』 …

鼻をピクピクさせたかと思ったら、目をパチクリ… 『くっさぁ~』 カナメが目覚めた。

おひげのおっちゃん、酒臭いって言うてるやろ… ん?あれ? みんな、何してはるの?

カナメ~ 大丈夫? …マキが抱きついた。

マキの号泣で周りも、目を潤ませていたが、カナメの目覚めで安堵の笑顔に戻った。

もらい泣きを隠すように背を向けていた岳豊だったが…ホントは笑いをこらえていたのであった。

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