つかの間のお正月休みを終え、東京に帰る日…
ほな おかぁちゃん 帰るわ また来るよって。
ボー お兄ちゃん 帰るでぇ~ どこいったぁ~。… 母が叫ぶ
どこ行ったんやろ、ほたら行くわ、よろしゅう言っといてや。
後ろ たてがみ を引かれる思いで馬運車に乗り込むと…
あっ あれ? ボー 何してんのや?。
ボーは 先に乗り込んでいた。
にぃちゃんと一緒に東京に行くんや。
おかぁちゃん ボー、ここにおるでぇ…
こら~ 何しとんの、兄ちゃん 仕事なんよ。 邪魔したらあかんがな。
わても 一緒に行くよって…おかぁちゃん お元気で
アホ! まだ早いわ。幼稚園どうすんのや。
卒園や 卒園。
ボー … 東京行って何すんのや?
あんなぁ、にぃちゃんが…水郷障害 飛び越えるとこ、見たぃねん。 格好えぇとこ 見たぃねん。ええやろ?
そりゃあかん。ボーがおらんようになったら、おかぁちゃん悲しむがな。兄ちゃんが留守の間、守るのはお前しかおらんやろ?
そ…そうやけど…
慌てんでも、すぐ東京に来れる。もう少し辛抱せぃ わかったな?
わからん ちぃっともわからん… エ~ン エ~ン。
泣かんでも またすぐ 帰ってくるよって… お土産 ぎょうさん持ってくるよって…な
嘘つき… 東京バナナ 1コだけ やったやろ…(途中で試食)
…
次は我慢するよって… ほな おかぁちゃん 頼むでぇ ボー。
シク シク … わ… わかったがな…
兄として、泣き顔を見せられないカナメは、振り向きもせず、尻尾を振り、馬運車に乗り込んだ。
後ろ扉が閉まるのを待ち、声を出して、思いっきり泣き、涙を流した。
いっぱい勝って、もっと ボー の価値を上げてやろうと思いながら… 帰路につく カナメであった。