中島氏は、週末その報告をする為、東京競馬場内の馬主の役員ルームに行きました。
宇都宮氏に「シンボリ牧場の当歳馬血統の良い2頭です。
芦毛の方が能力は上です」と言い2頭の写真を見せました。
すると宇都宮氏は、
困った顔をして「ボクは、芦毛はあんまり好きじゃないな・・・」と少し考えてから、「この鹿毛をもらうよ」と言って、鹿毛の当歳馬を引き取る事にしました。
この鹿毛は、のちのタマニシキで、エビハラ(屈腱炎)で早くに戦線を離脱してしまいます。
しかし、中島氏は、「エビじゃなかったらもっと走った」と言っていました。
そのやり取りを見ていたメジロ牧場のオーナー北野豊吉氏と名伯楽尾形藤吉調教師が近づいて来ます。
尾形藤吉調教師は、もう一頭の芦毛の写真を手に取って「いい馬だ」と言ってその写真を離しません。
すると、それを見ていた宇都宮氏は、一言「こうてやってくれ」と言ったのである。