中島氏が翌週、同じ東京競馬場内の役員ルールに行くと、尾形調教師が機嫌よさそうな顔で近づいて来ました。
「芦毛決めたよ」
「中島君、翌日、朝一番で北野オーナーと千葉に行って来た。いい馬だ。あの芦毛走るよ」と言われた。
中島氏は、尾形藤吉調教師に「よろしくお願い致します」と頭を深く下げました。
「中島君、君は若いのに、よく見えるいいメガネを持っているよ」
中島氏が「ボク、メガネ掛けていません」と言うと、「馬が見えるメガネだよ、中島君」と言ったのである。
中島氏はこの芦毛の当歳馬をきっかけに尾形藤吉調教師の親交を深めていきます。